この記事でわかること
- CRA(臨床開発モニター)の具体的な仕事内容
- 病院薬剤師からCRAに転職して変わったこと3つ
- 働き方・年収・キャリアの実態
- CRAに向いている人・向いていない人
- 薬剤師の経験がどう活きるか
目次
- CRAとは?仕事内容を解説
- 変化1:働き方が激変した
- 変化2:求められるスキルが変わった
- 変化3:キャリアの方向性が広がった
- CRAに向いている人
- まとめ
CRAとは?|薬剤師が知っておくべき仕事内容
病院薬剤師として3年働いた後、私はCRA(臨床開発モニター)に転職しました。
「CRAって何をする仕事?」って、転職前の私も正直よくわかってませんでした。
CRA(Clinical Research Associate)とは
CRA=臨床開発モニター
新薬の治験が、安全かつ手順書(プロトコール)通りに進められているかを確認・管理する職種です。
わかりやすく言うと: 「医療機関で行われている治験が、ちゃんとルール通りに進んでいるか監視・サポートする人」
製薬企業、またはCRO(医薬品開発業務受託機関)に所属して、医療機関を訪問して仕事をします。
CRAの主な業務内容
実際に働いてみて、こんな仕事をしています:
1. 医療機関と製薬企業の橋渡し
- 治験開始前の準備(契約、説明会など)
- 医師・CRCとの打ち合わせ
- 進捗状況の確認・報告
2. モニタリング訪問(月1〜2回)
- 原資料(カルテ)と症例報告書(CRF)の照合確認
- 治験薬の管理・保管状態のチェック
- 同意文書の確認
- 有害事象の確認
3. 文書作成・報告業務
- モニタリング報告書の作成
- 各種記録の管理
- 逸脱・問題点の報告
4. 品質管理
- データの正確性を担保
- プロトコール逸脱の防止
- 必要に応じて是正措置
CRAは、いわば「医療現場と製薬業界をつなぐ品質管理者」です。
医薬品が市場に出るまでの過程で、「正しいデータが正しい形で集まっているか」を守る重要な役割を担っています。
【変化1】働き方が激変|在宅勤務・フレックスで自由度アップ
転職して一番大きかったのは、働き方のバリエーションが増えたことです。
病院時代の働き方
- 出勤時間:固定(8:30〜17:00)
- 土日:隔週出勤+月1回当番
- 勤務スタイル:病院に毎日出勤
- 残業:月40時間
- 在宅勤務:なし
「土曜出勤か…」「日曜も当番…」って、毎週カレンダー見るのが憂鬱でした。
CRA転職後の働き方
- 出勤時間:フレックスタイム制
- 土日:完全週休2日(祝日もカレンダー通り)
- 勤務スタイル:在宅勤務週3〜4日+月1〜2回の施設訪問
- 残業:月20時間
- 在宅勤務:週3〜4日
これが本当に大きかった。
具体的に変わったこと
1. 朝の通勤ストレスが激減
在宅勤務の日は、9時に起きても余裕で間に合います(笑)。
通勤時間が片道1時間だったので、1日2時間の節約。その時間でヨガしたり、朝ごはんをゆっくり食べたり。
2. フレックスで時間調整が自由に
「今日は病院行きたいから、10時出勤にしよう」 「午前中に用事があるから、午後から働こう」
こんな風に、生活に合わせて仕事を調整できるのが本当に楽です。
病院時代は「遅刻したらどうしよう」って毎朝焦ってたのが嘘みたいです。
3. 土日が本当に休める
毎週、確実に土日が休める。
これ、病院時代には考えられなかったことです。
友達と予定を立てやすくなったし、趣味のヨガも再開できました。
【変化2】求められるスキルが変わった|臨床判断→データ管理
CRAの仕事では、「正確に確認する力」と「調整力」が重要です。
病院時代に求められたスキル
- 臨床判断(この薬で大丈夫か?)
- 即時対応(患者さんが待ってる)
- 調剤の正確性
- 服薬指導
「目の前の患者さん」のための仕事でした。
CRA転職後に求められるスキル
- データの正確性確認(カルテとCRFが一致してるか?)
- 調整力(医師・CRC・製薬企業との連携)
- 文書作成能力(報告書、記録)
- スケジュール管理
「治験全体の品質」を守る仕事に変わりました。
実際の業務の内訳
私の1週間のスケジュール例:
月曜:メール対応、モニタリング報告書作成
火曜:モニタリング訪問(A病院)出張
水曜:症例報告書確認、逸脱対応、社内MTG
木曜:メール対応、次回訪問準備
金曜:チームミーティング、事務
業務の約半分はメールや資料対応、残りがモニタリング訪問や報告書作成です。
薬剤師の経験が活きる場面
病院での経験は、特にこんな場面で活きます:
1. カルテ・検査値の読み取り
病院でカルテを見慣れていたので、原資料確認がスムーズ。
「この検査値、異常値だな」ってすぐわかります。
2. 薬効・副作用の理解
「この有害事象、治験薬と関係ありそう?」って判断するとき、薬剤師の知識がめちゃくちゃ役立ちます。
3. 医師・CRCとのコミュニケーション
病院で医師と日常的にやり取りしてた経験が、そのまま活きます。
医療用語も通じるし、「こういう風に伝えればわかりやすいな」ってのもわかります。
臨床判断はしないけど、臨床知識はフル活用します。
【変化3】キャリアの方向性が広がった|縦から横へ
病院や薬局では、現場中心の「縦の専門性」が求められます。
「この疾患に詳しい」「この領域のスペシャリスト」みたいな。
一方、企業では「医薬品の開発・安全性・品質管理」といった横方向に広い専門性を持つことが求められます。
CRAからのキャリアパス
CRA経験をもとに、こんな職種に発展する人が多いです:
1. QA(品質保証)
- 治験全体の品質管理
- 監査・査察対応
- 年収:500万〜700万円
2. PV(安全性情報/ファーマコビジランス)
- 副作用情報の収集・評価
- 安全性報告書の作成
- 年収:500万〜700万円
3. PMS(製造販売後調査)
- 市販後の安全性・有効性調査
- リアルワールドデータの分析
- 年収:500万〜650万円
4. PM(プロジェクトマネジメント)
- 治験全体の進行管理
- チームマネジメント
- 年収:600万〜900万円
5. メディカルアフェアーズ
- 医学的情報の提供
- 学術活動のサポート
- 年収:600万〜900万円
CRAの経験は、キャリアの中核的な”起点”になります。
私が実感したこと
病院時代は「調剤のスペシャリスト」を目指す道しか見えませんでした。
でもCRAになってから、「医薬品開発のプロ」として、いろんなキャリアの可能性が見えてきました。
「将来、PVに行ってもいいな」 「PMとして治験全体をマネジメントするのも面白そう」
選択肢が増えたことが、一番大きな変化かもしれません。
CRAに向いている人・向いていない人
CRAに向いている人
✅ コミュニケーション能力がある 医師・CRC・製薬企業の担当者と円滑にやり取りできる人
✅ 細かい作業が苦にならない カルテとCRFの照合、細かいチェックが得意な人
✅ 臨機応変に対応できる 突発的な問題(逸脱、有害事象など)に冷静に対応できる人
✅ 土日休み・在宅勤務がしたい ワークライフバランス重視の人
✅ キャリアアップしたい 将来的にPMやPVなど、専門性を広げたい人
CRAに向いていない人
❌ 患者さんと直接関わりたい CRAは患者さんとの接点がほぼゼロです
❌ ルーティンワークが好き 毎日同じ作業じゃなくて、柔軟な対応が求められます
❌ 出張が苦手 月1〜2回の施設訪問(出張)があります
❌ じっくり一つの専門性を深めたい 広く浅くの知識が必要なので、一つの領域を深める感じではないです
まとめ:企業転職は「医療の形を変えて貢献する選択」
企業で働く薬剤師は、現場を離れても医療を支えています。
CRAをはじめ、DI・PV・QAなど、それぞれの職種が”薬の安全性と信頼”を裏側で支えています。
転職で変わる3つのこと
1. 働き方が変わる
- 在宅勤務・フレックスで自由度UP
- 完全週休2日で土日が確実に休める
- 残業が減る
2. 求められるスキルが変わる
- 臨床判断→データ管理・品質管理
- でも薬剤師の知識はフル活用
- 調整力・コミュニケーション能力が重要に
3. キャリアの方向性が広がる
- CRA→QA、PV、PM、メディカルアフェアーズなど
- 縦の専門性→横の専門性へ
- 選択肢が増える
転職で得られる最も大きな価値
- 業務の質が変わり、時間の使い方が変わる
- 医療を俯瞰的に見る視点が育つ
- 自分のペースで働く環境を選べる
これが、企業転職で得られる最も大きな価値です。
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