はじめに:「未経験だから無理」は思い込みです
「薬剤師だけど企業で働く」
そう聞くと、少し特別なキャリアに感じませんか?
実は、薬剤師資格を持つ人なら
未経験でも企業転職は十分可能です。
私自身、病院勤務から
CRA(臨床開発モニター)へ転職しましたが
最初は「企業なんて別世界」と思っていました。
でも、いざ挑戦してみると
薬剤師として培った知識・正確性・責任感は、
むしろ企業で強く求められているスキルでした。
この記事では、未経験でも企業で通用する薬剤師の特徴と、
代表的な職種(CRA・DI・CRC)の具体的な仕事内容をご紹介します。
なぜ「未経験の薬剤師」でも企業で通用するのか?
企業が薬剤師を求める理由は明確です。
それは、医薬品を”安全かつ正確に扱う”という
使命を理解しているから。
現場で培った薬理知識、
医療者とのコミュニケーション、
そして「安全第一」の姿勢。
これらは企業にとって即戦力レベルの資質です。
医薬品開発や情報管理では、
以下のような薬剤師ならではの力が重宝されます。
- 正確なデータ処理と記録
- 医療現場の理解に基づく判断力
- コンプライアンス意識の高さ
- 医療従事者と円滑に連携するスキル
だからこそ、未経験でも採用されるケースは多いのです!
企業で活躍できる薬剤師の代表職種
薬剤師資格が活かせる職種は
たくさんありますが、
ここでは「未経験から挑戦しやすく」
「需要が高い」3つに絞って紹介します。
CRA(臨床開発モニター)
CRAは、新薬の治験(臨床試験)を支える仕事です。
治験がルール通りに、安全かつ正確に進められているかを確認します。
【主な業務内容】
- 治験実施医療機関(病院・クリニック)への訪問
- 症例報告書のチェック・修正依頼
- 治験担当医師との打ち合わせ・進捗確認
- モニタリングレポートや報告書の作成
- 治験実施計画書や同意説明文書の確認
【CRAに求められる力】
- 医薬品の安全性・有効性の理解
- 医療スタッフとの調整・報告能力
- PCスキル(Excel、Word、メール対応)
- できれば英語能力
【働き方の特徴】
- 製薬企業またはCROに所属
- 出張・直行直帰・リモート勤務あり
- 平日勤務・土日休みが基本
CRAは「治験の品質を守る監督役」。
現場経験がある薬剤師はその正確性で強みを発揮できます。
DI(医薬情報担当)
DI(Drug Information)は、
医療従事者や患者からの
問い合わせに答える”情報の専門職”です。
【主な業務内容】
- 医師・薬剤師・看護師からの問い合わせ対応
- 医薬品の添付文書・論文・ガイドラインの検索・要約
- 社内FAQ・製品資料・教育用資料の作成
- 副作用情報や安全性データの共有・管理
【DIに求められる力】
- 幅広い薬学知識(薬理・相互作用・副作用)
- 論理的な説明力と正確な文章作成スキル
- 「調べて伝える」姿勢と責任感
【働き方の特徴】
- 完全内勤(オフィスまたは在宅)
- 残業が少なく安定したワークライフバランス
- 平日勤務・土日祝休みが基本
DIは「現場と情報の橋渡し役」。
落ち着いた働き方を求める薬剤師に人気の職種です。
CRC(治験コーディネーター)
CRCは、治験を行う医療機関に所属し、
医師・製薬企業・被験者の間をつなぐサポート職です。
【主な業務内容】
- 被験者(患者)へのスケジュール説明・サポート
- 医師・企業担当者との連携・報告
- 検査データや記録の管理
- 治験同意書の説明と保管
【CRCに求められる力】
- 被験者の心理を理解する共感力
- 医療現場の動きを理解する力
- 調整力・気配り・臨機応変さ
【働き方の特徴】
- 医療法人やSMO(治験支援機関)に所属
- 基本は平日勤務・夜勤なし
- 現場感を残しつつ、安定した生活リズム
CRCは、「人と関わる医療」を続けたい薬剤師に向いています。
未経験でも採用される薬剤師の特徴3つ【採用担当が見ているポイント】
「未経験OK」と書かれた求人は多いですが、
実際に内定を取るには”はっきりした傾向”が
あると感じました。
その共通点は、スキルよりも“姿勢”と“伝え方”。
つまり、面接でどう見せるかで結果が変わります。
① 現場経験を「企業が欲しい言葉」に変えられる人
企業の採用担当が聞きたいのは、
「何をやってきたか」ではなく、
「その経験がどう活かせるか」。
たとえば、薬局・病院勤務ならこう言い換えられます。
| 現場での経験 | 面接での伝え方(企業向け) |
|---|---|
| 患者さんへの服薬指導 | 情報を整理し、相手の理解度に合わせて説明してきました |
| 副作用報告や監査対応 | リスク管理・記録作成を正確に行う意識を常に持っていました |
| 医師・看護師との連携 | チーム間での調整や情報共有を円滑に行っていました |
このように話すと、
企業が求める「情報伝達力・正確性・協調性」が自然に伝わります。
② ミスを防ぐ「報告・共有力」がある人
CRA・DI・CRCのどの仕事も、
「報連相(報告・連絡・相談)」が命です。
複数の相手に情報を伝える場面が多いため、
「伝えたつもり」が最も危険とされています。
採用担当が面接で見るのは、
- 話の順序が整理されているか
- 事実と意見を分けて伝えられるか
- 相手の理解を確認する姿勢があるか
現場での副作用報告・監査対応・申し送りなどは、
この能力を自然に磨いてきた証拠です。
自信を持って話して大丈夫です。
③ 学びを「楽しめる」タイプの人
企業は、“最初からできる人”ではなく、
“任せたら吸収して伸びる人”を採ります。
特に未経験採用では、
「どれだけ柔軟に学べるか」
「新しい環境に抵抗がないか」
がポイントです。
「まだ詳しくない分野ですが、
調べながら吸収していくのが得意です。」
こう言える人は、企業にとって非常に魅力的です。
CRAやDIの現場では、英語の手順書や
報告システムなど新しいものが多いですが、
実際に働いている人の多くも
最初は同じ“未経験”から始めています。
体験談:病院からCRAへ転職したリアル
私は病院薬剤師として3年働いたのち
CROのCRAへ転職しました。
最初はExcelも英語も苦手で、正直かなり不安でした。
ですが面接では、
「患者対応で培った説明力」と
「副作用対応での慎重さ」をアピールしました。
結果、内定。
現在は治験チームの一員として
新薬開発の現場をモニタリングしています。
現場を離れても、薬剤師としての感覚は消えません。
“薬を安全に届ける”という目的は、どこにいても同じです。
まとめ:薬剤師資格は、企業でも確実に活きる
企業薬剤師の仕事は、
「現場とは違う形で医療を支えること」。
未経験でも、
- 正確さ
- 誠実さ
- 学ぶ姿勢
この3つを持つ薬剤師は確実に評価されます。
「企業で働く薬剤師」という選択は、
キャリアを広げるだけでなく、
自分らしい働き方を取り戻すきっかけにもなります。
未経験でも、薬剤師は企業で通用します。
あなたの経験は、次のフィールドで必ず活かせます。
自身を持って転職活動を始めてください!

